建設業法の研究 建設業許可の欠格要件
【建設業許可の欠格要件】
第8条の各号に該当する者は許可を受けることができません。(一般、特定共通)
欠格とは、ある事柄に必要な資格を欠いているいることをいい、ある条件に該当することにより許可を受けることができないその条件のことを欠格要件といいます。
1 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
2 第29条第1項第5号又は第6号に該当することにより一般建設業の許可又は特定建設業の許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者
3 第29条第1項第5号又は第6号に該当するとして一般建設業の許可又は特定建設業の許可の取消しの処分に係る行政手続法 (平成5年法律第88号)第15条 の規定による通知があつた日から当該処分があつた日又は処分をしないことの決定があつた日までの間に第12条第5号 に該当する旨の同条 の規定による届出をした者で当該届出の日から5年を経過しないもの
4 前号に規定する期間内に第12条第5号に該当する旨の同条の規定による届出があつた場合において、前号の通知の日前60日以内に当該届出に係る法人の役員若しくは政令で定める使用人であつた者又は当該届出に係る個人の政令で定める使用人であつた者で、当該届出の日から5年を経過しないもの
5 第28条第3項又は第5項の規定により営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
6 許可を受けようとする建設業について第29条の4の規定により営業を禁止され、その禁止の期間が経過しない者
7 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から5年を経過しない者
8 この法律、建設工事の施工若しくは建設工事に従事する労働者の使用に関する法令の規定で政令で定めるもの若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律 (平成3年法律第77号)の規定(同法第32条の3第7項 及び第32条の11第1項 の規定を除く。)に違反したことにより、又は刑法 (明治40年法律第45号)第204条 、第206条、第208条、第218条の3、第222条若しくは第247条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律(大正15年法律第60号)の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から5年を経過しない者
9 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号又は次号(法人でその役員のうちに第1号から第4号まで又は第6号から第8号までのいずれかに該当する者のあるものに係る部分に限る。)のいずれかに該当するもの
10 法人でその役員又は政令で定める使用人のうちに、第1号から第4号まで又は第6号から第8号までのいずれかに該当する者(第2号に該当する者についてはその者が第29条の規定により許可を取り消される以前から、第3号又は第4号に該当する者についてはその者が第12条第5号に該当する旨の同条の規定による届出がされる以前から、第6号に該当する者についてはその者が第29条の4の規定により営業を禁止される以前から、建設業者である当該法人の役員又は政令で定める使用人であつた者を除く。)のあるもの
11 個人で政令で定める使用人のうちに、第1号から第4号まで又は第6号から第8号までのいずれかに該当する者(第2号に該当する者についてはその者が第29条の規定により許可を取り消される以前から、第3号又は第4号に該当する者についてはその者が第12条第5号に該当する旨の同条の規定による届出がされる以前から、第6号に該当する者についてはその者が第29条の4の規定により営業を禁止される以前から、建設業者である当該個人の政令で定める使用人であつた者を除く。)のあるもの
1. 第1号に該当
成年被後見人もしくは被保佐人または破産者で復権を得ないもの
これらのものは法律上、正常な取引を行うことができませんので欠格要件として許可をしないことと定めています。
(1) 成年被後見人とは、精神上の障害により事理弁識能力を欠く常況にある者で、家庭裁判所に
より後見開始の審判を受けた者のことです。成年被後見人には成年後見人が付きます。成年被後
見人の行った法律行為は、成年後見人の同意があったとしても原則、取り消すことが出来ます。
(2) 被保佐人とは、精神上の障害により事理弁識能力が著しく不十分な者で、家庭裁判所より保
佐開始の審判を受けた者のことです。被保佐人には保佐人が付きます。被保佐人が保佐人の同意
なくして、一定の重要な財産行為を行った場合は、この行為を取り消すことができます。
(3) 破産者には株式会社の取締役や後見人にはなれないなどの制限が課せられます。復権を得な
いものとは、裁判所から免責決定や復権決定を受けておらず制限から回復していない者をいいま
す。
2. 第2号に該当
不正の手段により許可を受けたことにより許可を取り消され、または営業停止の処分に違反して許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者
(1)29条1項5号、6号とは不正な手段により許可をうけたとか、営業停止処分に反して営業を続
けたような悪質な場合、許可の取消し事由となります。このような悪質な違反者には取消しの日
から5年間、許可を与えません。
(2)ただし、本号に該当する者が取り消された業種以外にも許可を受けている場合は、これらの許
可の更新は認められます。
3. 第3号に該当
許可の取消処分に係る聴聞通知があった日から当該処分の決定があった日までの間に、廃業届を提出した者で、届出の日から5年を経過しないもの
(1) 許可行政庁は許可の取消処分などを行う場合は相手方の言い分を聞かなければなりません。
これを「聴聞」といいますが、事前に予定される処分の内容、原因等を記載した書面をもって通
知しなければなりません。
(2) 許可の取消処分を受ける前に廃業の届出を行い欠格要件を回避しようとする逃げを防ぐため
の定めです。聴聞の通知があった日から取消処分があった日、または処分をしないことの決定が
あった日までの間に廃業の届出を行った法人または個人は、その届出の日から5年間は第2号と同
様に、許可を受けることができません。
(3) ただし、廃業した業種以外の許可の更新はできます。
4. 第4号に該当
上記、第3号の聴聞通知の前60日以内に前号の廃業届を提出した役員もしくは令3条に規定する使用人であった者、個人の令3条に規定する使用人であった者で、届出の日から5年を経過しないもの
(1) 前号は法人または個人事業主が対象ですが、前号の法人の役員または法人、個人の令3条に規
定する使用人(支店長など)であった者についても、同様に5年間は許可を受けることができませ
ん。
(2) ただし、本号に該当する役員または使用人が個人事業主として建設業の許可を受けている場
合は、この許可の更新は認められます。
5. 第5号に該当
営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
(1) 営業停止を命ぜられた者は、その停止の期間が経過するまでは他の業種であっても許可を受
けることはできません。
(2) ただし、営業停止の期間中でも許可の更新は可能です。
6. 第6号に該当
許可の取消し、または営業の停止を受けた場合、役員または令3条に規定する使用人が新たな営業の開始を禁止され、その禁止期間が経過しない者
(1) 許可を取り消されたり、営業の停止を受けた場合、その役員および使用人のうち、これらの
処分に関して相当な責任を有する者は営業を禁止されます(第29条の4)。
(2) 営業を禁止された期間中の者は、営業禁止になった業種について許可を受けることができま
せん。
(3) ただし、本号に該当する者が個人事業主として建設業の許可を受けている場合は、この許可
の更新は認められます。
7. 第7条に該当
禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または系の執行を受けることが亡くなった日から5年を経過しない者
(1) 禁錮以上の刑を受けた者は、犯罪の種類を問わず欠格要件に該当し、刑の執行を受けること
がなくなった日から5年間は許可を受けることができません。
(2) 執行猶予を受けた場合、執行猶予期間の満了により、刑の言い渡しは効力を失うので、その
時点で5年間を経過していなくても、本号の欠格事由には該当しないことになり、許可を受けるこ
とができます。
8. 第8号に該当
建設業法、建設工事に関する他の法律や暴力団に関する法律等に違反したり、一定の罪を犯したことにより刑法等の罰金の刑に処せられた場合、刑の執行が終わり、または刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
(1) 特に重要と思われる次の法令等に違反した場合は、たとえ罰金刑であっても欠格要件に該当
します。
① 建設業法
② 暴力団による不当な行為の防止等に関する法律
③ 建設工事の施工にまたは建設工事に従事する労働者の使用に関する法令の規定で政令(令3
条の2)で定めるもの
イ. 建築基準法9条1項等違反による同法98条 : 違反建築物に対する施工停止命令違反
ロ. 宅地造成等規制法13条2項等違反による同法23条 : 違反工事に対する工事施工停止
命令違反
ハ. 都市計画法81条1項違反による同法91条 : 違反工事に対する工事停止命令違反
ニ. 労働基準法5条、6条違反による同法117条、118条1項 : 強制労働の禁止違反、中
間搾取の排除違反
ホ. 職業安定法44条違反による同法64条 : 労働者供給事業の禁止違反
ヘ. 労働者派遣法4条3項違反による同法59条 : 適用対象事業以外の業務に関し労働者
派遣事業の禁止違反
④ 刑法の傷害罪、現場助勢罪、暴行罪、凶器準備集合罪、脅迫罪または背任罪
⑤ 暴力行為等の処罰に関する法律に規定する罪
9. 第9号に該当
営業に関し法定代理人の同意を得ていない未成年者で、その法定代理人が上記の各号に該当する者
(1) 未成年者は建設業を営むには法定代理人の同意が必要です。しかし、その法定代理人が1号か
ら前号までに該当する場合は許可を得ることができません。
(2) 婚姻した未成年者あるいは特定の営業を許された未成年者はその営業に関しては成年者とみ
なされ建設業の許可を得て営業できます。
10. 第10号に該当
役員または令3条に規定する使用人のうち第1号~第4号または第6号~第8号に該当する者がいる法人
(1) 法人の役員または使用人が1号から4号または6号から8号に該当する場合にも欠格要件に該当
します。
(2) 条文のカッコ書きの意味は法人の役員または使用人が欠格要件に該当するに至ったが、それ
以前からその法人の役員または使用人であり、カッコ書きの条件に当てはまる場合は、その法人
は欠格要件に該当しません。
よくわからないので具体的に説明します。
たとえば、A社の役員である甲さんは自らも代表取締役としてB社を経営していました。ところがB社は法令違反を犯し許可の取消処分を受けてしまいました。甲さんはB社が取消処分を受ける前からA社の役員でした。A社にとってB社の処分とは無関係です。この場合、A社も許可の取消処分を受けてしまうでしょうか。まとめると次のようになります。
法人の役員または使用人に欠格要件該当者がいる場合
| 欠格要件該当事由 | 10号に該当するか否か | 関連条文との関係 |
|---|---|---|
|
2号:許可取り消しを受けた者 3号:許可取り消しの前に廃業の届出をした者 4号:3号の廃業の届出を行った法人の役員または使用人であった者 6号:営業禁止期間の者 |
欠格要件該当者が欠格要件に該当する以前から建設会社の役員または使用人であった場合、この会社は10号の欠格要件には該当しない(カッコ書きによる) | 11条5項の届出不要 29条1項2号の許可取消しに該当せず |
|
1号:成年被後見人等 7号:禁錮以上の刑に処せられた者 8号:特定の罪により罰金以上の刑に処せられた者 |
欠格要件に該当するに至ったことにより、この会社は10号の欠格要件に該当する | 11条5項の届出必要 29条1項2号に該当し許可取消し |
11. 第11号に該当
令3条に規定する使用人のうち第1号~第4号または第6号~第8号に該当する者がいる個人事業主
(1)前10号は法人の場合でした。本号は個人のケースで前10号の説明中、法人を個人事業主と読
み替えてください。
12. 虚偽記載等
許可申請書またはその添付書類に虚偽の記載があったり、重要な事項の記載を欠いたとき
なお、平成26年6月4日、「建設業法等の一部を改正する法律」が公布されたことに伴い1年以内に第8条は次のように改正施行されます。
赤字が改正される部分です。
1・2・3(略)
4 前号に規定する期間内に第12条第5号に該当する旨の同条の規定による届出があつた場合において、前号の通知の日前60日以内に当該届出に係る法人の役員→役員等若しくは政令で定める使用人であつた者又は当該届出に係る個人の政令で定める使用人であつた者で、当該届出の日から5年を経過しないもの
5・6・7・8(略)
9(新設)暴力団等による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者(第13号において「暴力団員等」という。)
9→10 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号又は次号(法人でその役員→役員等のうちに第1号から第4号まで又は第6号から第8号→前号までのいずれかに該当する者のあるものに係る部分に限る。)のいずれかに該当するもの
10→11 法人でその役員→役員等又は政令で定める使用人のうちに、第1号から第4号まで又は第6号から第8号→第9号までのいずれかに該当する者(第2号に該当する者についてはその者が第29条の規定により許可を取り消される以前から、第3号又は第4号に該当する者についてはその者が第12条第5号に該当する旨の同条の規定による届出がされる以前から、第6号に該当する者についてはその者が第29条の4の規定により営業を禁止される以前から、建設業者である当該法人の役員→役員等又は政令で定める使用人であつた者を除く。)のあるもの
11→12 個人で政令で定める使用人のうちに、第1号から第4号まで又は第6号から第8号→第9号までのいずれかに該当する者(第2号に該当する者についてはその者が第29条の規定により許可を取り消される以前から、第3号又は第4号に該当する者についてはその者が第12条第5号に該当する旨の同条の規定による届出がされる以前から、第6号に該当する者についてはその者が第29条の4の規定により営業を禁止される以前から、建設業者である当該個人の政令で定める使用人であつた者を除く。)のあるもの
13(新設)暴力団員等がその事業活動を支配する者




